dynabook T552/58GKD の過熱保護機能が作動したので、CPU 冷却ファンを掃除したら効果てきめんだった

観測史上例のない酷暑が続いた 7 月の出来事・・・。

 

始めに:

TV ニュースで「観測史上例がない」と言っていた酷暑が続いた、 7 月初めのある日の真夜中の話だ。

その頃取り組んでいた課題の解決にめどが立ったので、あとは軽くマージャンゲームをやってから寝てしまおう ―― とゲームを起動して一打目を打った瞬間、パチンという音とともに dynabook T552/58GKD(Dynabook) の液晶画面が真っ暗になってしまった。

そこから数秒間・・・「修理代はいくらかかる?」とか「買い換えなら中古もアリか」とかいう考えが頭の中を駆け巡ったが、10 秒ほど経ったとき「あっ!サーマルか」という言葉が頭に浮かんだ。

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過熱保護機能:

この場合のサーマルというのは、発熱しやすい電気製品、電子部品などを過熱から保護するための電源遮断器(部品) ―― サーマルプロテクタの略称、つまり、とある業界用語だ。

今回はパチンという音(※)がしたので【リレーの動作音 => 電源遮断 => サーマルプロテクタ】と連想して、PC の CPU 過熱保護機能が働いたことに(10 秒もたってから!)気が付いたが、こういうのを経験したことがない人は、何が起きたのかを咄嗟(とっさ)に理解することができないかも知れない。

何にしても、過熱保護機能が作動したからと言ってあわてる必要はない(私はしばしボーゼンとしたけど)。CPU の温度が安全なところまで下がれば、電源の再投入が可能になる。この時は Dynabook をひっくり返して 15分程度放熱し、本体温度が十分下がったころを見計らって電源を再投入して、無事に終了処理を実行することができた。

※音の発生源は分かっていない。

電源の再投入:

過熱保護機能は、CPU の温度が上昇するような悪条件(気温、湿度、使用時間、電源電圧など)が重なった時に作動することがある。

電源の再投入はそのような状況を改善してから実行する。

もし電源再投入後の数秒以内に再び電源接続が遮断されるようならば、それは確実に故障ということになるので、以後は電源の再投入を試行してはいけない

過熱の原因は CPU 冷却ファン排気の目詰まり:

今回の場合は、いつもより室温が高い中で頻繁に Chrome を再起動したので、通常の使用状況よりもかなり条件が悪かったのは確かだ。しかし一番大きな要因は、CPU 冷却ファンの排気側ヒートシンクに詰まっていたワタぼこりだ。

外から見た限りでは、冷却ファンのブレードに汚れが付着していなかったので油断したが、開けてビックリだ。見た目、どうやら我が家のネコ君の抜け毛がメイン素材のようだった。

これを取り除いただけで、Dynabook の冷却能力は、大げさでなく劇的に改善した。長時間の動画再生やデベロッパーツールの使用にともなう Chrome の連続的な再起動などと、かなりハードに使っても、キーボード周りのフロントパネルはほんのり暖かくなるかどうかという程度だ。

冷却ファンを清掃する前は、実はかなり熱くなっていた。
最近はデベロッパーツールを長時間使うことが多く、しかも大抵の場合ヘッドホンで YouTube のジャズやブルースなどを聞きながら作業していたので、少しくらい熱くなるのは仕方ないと思っていたが、それは完全に心得違いだったようだ。

CPU 冷却ファンまわりの清掃:

冷却ファン周りの清掃は簡単に実行できる。
CPU に冷却ファンを直付けしている訳ではないので、放熱グリスを用意する必要はない。あえて何か言うならば、ラジエター形状のヒートシンクを清掃するには、掃除機で吸い込むよりエアスプレーで吹き飛ばした方が効果的だ、ということぐらいかな?

これについては、鮮明な写真付きでとても詳しく説明しているサイトを見つけたので、先にリンクを挙げておく。
T552 シリーズの内部の様子を詳しく知りたい人や、冷却ファンの分解清掃のやりかたを知りたい人には、私の記事よりずっと参考になるだろう。強くお勧めする。

参考サイト:

応援します! 北海道コンサドーレ札幌: TOSHIBA dynabook T552/58GW 冷却ファンを分解掃除

 

作業前の注意事項:

5 年保障などの販売店独自の長期保証を付けている場合は、今が保証期間中であるかどうかを確認する(※)。

保証期間中ならば、機器の内部を自分でいじった場合(その形跡がある場合)保証が無効になることもあるので、その点を販売店のサポート部署に確認した方が良いだろう。

もしサポート部署が OK を出してくれたならば、作業内容を、できれば写真付きで正確に控えておいて、万一の場合にそなえておくことをお勧めする。

NG ならば、清掃程度の軽作業は保証契約の中でどういう位置付けなのかということを、しっかりサポート部署に問い合わせるべきだ。保証は一度受けてしまうとその時点で契約終了となることがあるので、これは重要な問題だ。

※ 長期保証の無償範囲は残存価格で決まるので、その金額も聞いておいた方が良い。

用意するもの:

作業に取り掛かる前に次の物を用意する。

  • 10 ~ 15cm 程度のプラスドライバー
  • 20 ~ 25cm 程度のマイナスドライバー
  • ネジ受け用の小皿等
  • 汗拭き用のタオル、ティッシュペーパー等
  • 状況によりネジロック用の接着剤
  • 新聞紙、ビニールシート等
  • 掃除機、エアスプレー等

プラスドライバーはしっかりグリップできるものを用意する。
PC の底面(ベースカバー)の止めネジは接着剤でロックされているので、指先で軸回転させるタイプの精密ドライバーでは緩めるのが難しい。私は 15cm の物を使った。大きすぎるかと思ったが全然問題なしだった。

dynabook T552/58GKD のベースカバーを外す:

ベースカバーを外す時の注意事項:

  • 使用されているネジの本数と形状

外したネジの本数は必ず確認する。合計 17 本だ。
外し忘れがあるのにベースカバーを取り外そうとすると、カバー側のネジ受け部分が抜けてしまう危険性がある。特に DVD ドライブの固定ネジは要注意だ。

 ねじ止め箇所  ネジ本数  ネジ径(実測値) 形状
HDDカバーと ベースカバー 15 2.45mm  サラ
HDD 本体 1 同上  サラ
DVD ドライブ 1 2.00mm  ナベ(短)
  • ベースカバーの取り外し

参考サイトでは簡単に外れると言っているので、恐らく DVD ドライブの開口部を上に引っ張り上げて外していると思われる。私はもう少し慎重な方法を採った。それは前者がダメだという意味ではない。私自身の習慣でそうしているということだ。どうやったかは下の写真で説明する。

この写真は実際に冷却ファンを清掃した時のものではなく、この記事を書くために新たに撮ったものだ。

ベースカバー取り外しの様子:

最初の写真はバッテリーコンテナの様子だ。
楕円で囲っている部分はベースカバー固定用のツメの部分だ。このあたりはあまり強度がなさそうなので、扱いには注意が必用だ。15cm プラスドライバーの大きさも分かると思う。ネジ穴ギリギリの直径だ。

備忘録:バッテリー型番:PABAS260(PA5024U-1BRS)

バッテリーコンテナ内部:

 

HDD カバーを外す:

10 円硬貨で HDD カバーを外している。
硬貨をテコのように上下に動かすのではなく、ねじるように回転させている。簡単に外れない時は、隙間にマイナスドライバの先端を差し込み、やはり回転させて少しずつ外して行く。

 

ベースカバーを外す:

DVD ドライブ開口部を指で持ち上げ、隙間にマイナスドライバーを差し込み、ねじるように回転させながらツメを外して行く。写真では奥のバッテリーコンテナ側に向かって反時計回りに進んでいるが、逆に PC の前方側面、左側面と、時計回りに進めて行く方が良いだろう。

そうやって三方を外せば、後はベースカバー少しあおるだけでバッテリーコンテナ部のツメを外すことができそうだ。

私は写真のとおりに進んで、バッテリーコンテナ部のツメもドライバーを使って外したが、あまり良いやり方ではなかったかも知れない。

CPU 冷却ファンを取り外してヒートシンクを清掃する:

無事ベースカバーを外し終えたら、冷却ファンの清掃ができるようになる。
2 本の固定ネジを外し、電源コネクタを引き抜けば冷却ファンを取り外せるので、あとは掃除機かエアスプレーでヒートシンク部のホコリを掃除すれば良い。スプレーを使う場合は屋外で作業する。

組み上げ:

ベースカバーはバッテリーコンテナ側から取り付けていく。
カバーがきちんとはまったら HDD と DVD ドライブを取り付けるが、ベースカバーの DVD ドライブ固定ネジ受け部分は非常に薄いので、ネジを力まかせにしめ付けないように注意する。

DVD ドライブを頻繁に使うことがあるならば、ネジが緩まないようにロック用の接着剤を使う方が良い。私は年に数回使う程度なのでロックはしなかったが、しておいた方が良かったかも知れないと、今頃思っている。

すべてのネジをしめ終えたら、ベースカバーがどこかで変形していないどうか確認する。

一番下の写真を見ると、DVD 開口部を指で押し上げているだけなのに、弧状に大きくしなっているのが分かるだろう。ベースカバーの材質はかなり弾力性があるので、ツメのある個所がきちんとはまり切らずにいると、その箇所だけが山形に浮き上がってしまうのだ。

おわりに:

今回の報告は以上で終了だ・・・しかし、CPU の過熱保護機能が働いたので CPU 冷却ファンを掃除したら冷却能力が復活した ―― ということを言いたかっただけなのに、どうしてこう長くなってしまったんだろう?

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「dynabook T552/58GKD の過熱保護機能が作動したので、CPU 冷却ファンを掃除したら効果てきめんだった」への2件のフィードバック

  1. 初めまして。
    分解情報、有難う御座いました。
    非常に参考になります。

    コロナ禍、気を着けてお過ごし下さい。

    1. コメントありがとうございます。

      山本さんも私と同じような機種をお持ちなのでしょうか?
      もしそうならば、この機種はかなり筐体の強度が低いので、今後の清掃作業でねじ受け部、ディスプレイ支持機構などを破損しないよう、十分お気を付けください。

      私は数次にわたる清掃で、何か所か破損させてしまいました。

      Bonkure

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