VST プラグイン TX16Wx の使い方 ― Version 2 におけるエクスプレッション(Expression:CC11)設定の問題点を解決する

TX16Wx Version 2 の Expression の問題解決のヒントは Version 3 にあった

始めに:

フリーの VST プラグイン TX16Wx Version 2(Ver 2)の音量調節のうちのエクスプレッション(Expression または CC11)の設定値におかしな点があることは、2015年12月のブログ記事【VST プラグイン TX16Wx の音量設定 ― Velocity など・・・】で説明した。しかし、最近になってかなり実用的な Expression  の設定方法を見つけたので、今回はそれを紹介する。

もちろん、本当に実用になるかどうかは TX16Wx ユーザーが判断することだ。
このすぐ後に TX16Wx Version 3(Ver 3)と Ver 2 の両方のサンプル音源を置いてあるので、判断の参考にして頂きたい。もしこれで良しとするならば、Ver 2 ユーザーはあえて取り扱いの難しい Ver 3 へ乗り換える必要はないだろう。

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PC  :dynabook T552/58GKD
OS  :Windows 10(ver 1903)

1.TX16Wx の Expression の設定

CC11 による音量調整サンプル:

まず設定例を聴いて頂こう。両方とも同じ Midi データをレンダリングしたものだ。
Ver 3 の方は Cakewalk by BandLab(Cakewalk)で、Ver 2 の方は Tracktion 7 を使用した。

TX16Wx のバージョン:

Version 2: TX16Wx Ver 2.4.2h(64bit)
Version 3: TX16Wx Ver 3.2.1c(64bit)

CC11 による再生音のエンベロープ:

サンプル Midi データは Domino で作成した。
CC11 を 0~127 の間で直線的に変化させている。再生音がこのエンベロープを再現できたら、 Expression の設定はうまく行ったということになる。

Fig1:Domino CC11 設定

両方の再生時のエンベロープは下の図のとおりだ。
Ver 2 でも Ver 3 とまったく同じ Expression の表現が可能であることが分かる。正直なところ、これほどうまく行くとは思わなかった。

Fig2:TX16Wx Ver 3 のエンベロープ

Fig3:TX16Wx Ver 2 のエンベロープ
1)Expression-TX16Wx Version 2 の設定(目次へ戻る)
Mod Table 項目の設定:

Expression の第一段階の設定は Mod Table で行う。
上のサンプル音源の設定値は下のテーブルの通りだ。かなり試行錯誤を繰り返した割には、ごくありきたりな値になった。

これらの項目と値にはデフォルト値がないので、項目と値はどこかのタブの空白フィールドに新規挿入する。source と dest はマウスクリック(左右の区別はない)で表示されるメニューから選択する。amount は数値を直接入力する。例示されている設定値は dB 単位の Midi CC011 設定値の最大値だ。

MIDI 設定項目 source dest amount
Velocity Vel AEG Amp 1.00
AEG AEG Volume 0
Via Midi CC011 1.00

TX16Wx Ver2 の Mod Table 設定値

Mod Table の操作は、TX16Wx のスプリットが表示されているエリア(Keyboard Mapping Editor)ですべてのスプリットを選択してから実行する。スプリットの取り扱いについて詳しい説明が必要ならば【VST プラグイン TX16Wx の使い方 ― ピッチベンド(Pitch Bend)の設定・他】の【Mod Table フィールドの設定方法】を参考にして頂きたい。

関連項目として冒頭に挙げたブログの記事で説明した Velocity の設定値も再掲した。
それと、Via という source 項目があるということではない。下の図を見て頂きたい。つまりそういうことだ。

Fig4:Mod Table Tab 3
AEG / Main セクションの設定:

設定の第二段階は AEG / Main セクションの volume ノブ(または設定値フィールド)上で行う。
これは CC11 の設定可能範囲 0~127 を最大限利用するための設定だ。上のサンプル音源はこの設定に従っている。

volume ノブの設定値をキャンセルする:

すべてのスプリットを選択し、TX16Wx の左側にある AEG / Main セクションの volume ノブを反時計方向一杯にまわして、値を 0(ゼロ)に設定する。フィールドをダブルクリックして編集可能にして、数値を直接入力しても OK だ。

注意点:

volume をゼロに設定した状態でプログラムを上書き保存するのは、お勧めできない。他のプロジェクトがそのプログラムファイルを Expression の設定なしで使用した場合、音量がゼロになってしまうからだ。

TX16Wx のプログラムは、 DAW のプロジェクト保存時に自動的にプロジェクトファイルの中に保存されるので、ユーザーがこのプロジェクトだけで使用するプログラムの設定を意図的に保存する必要はない(※)。

  • ※ このプロジェクトを次回読み込む時に、拡張子 txprog のプログラムファイルは自動的には読み込まれない。その必要が無いからだ。

volume に有意な値を設定した状態、つまりバイアスがかかった状態で CC11 を設定すると、そのエンベロープは次の様になる。

Fig5:バイアスがかかったエンベロープ

CC11 の値が 127 に達する前に Expression がピークに達している様子が分かるだろう。フィンガービブラートの方がなんだかホタルの幼虫みたいだが、ピーク部分が平坦になっているからそう見えるのだ。

2)Expression-TX16Wx Version 3 の設定(参考資料)(目次へ戻る)

参考までに Ver 3 の Expression 設定を紹介しよう。設定方法は二つある。
一つは Ver 2 とまったく同じ方法であり、別の一つは AEG / Main セクションの volume に直接 CC11 を割り当てるという方法だ。後者が今回の設定方法を思いつくためのヒントになった。つまり ――

Ver 3 の volumeノブ に CC11 を割り当てる方法 > Modulation で AEG に Volume を割り当てる方法 > Ver 2 の  Mod Table で AEG に Volume を割り当てる方法

という順番で色々試してきた結果が、今回紹介した設定方法になったということだ。

TX16Wx Version 2 と同じ方法で設定する:

Ver 3 の Modulation ―― Ver 2 の Mod Table  のこと―― の設定値は次の通りだ。
Amount の絶対値が Ver 2 の 6 倍になっているが、これは dB 単位の設定値の上限だ。あとの工程は Ver 2 とまったく同じだ。

MIDI 設定項目 Source Dest Amount
Velocity Vel AEG Amp 6
AEG AEG Volume 0
Via Midi CC011 6
AEG / Main セクションの volume に直接 CC11 を割り当てる:

volume ノブ、または下の設定値フィールドを右クリックしてメニューから【011:Expression】を選択する。やることはこれだけだ。

Fig6:volume に CC11 を割り当てる

この設定を使うならば Modulation の設定は不要だ。もし設定済みならば、amount の右横の e/f ボタンをクリックして設定を無効にすれば良い。当たり前のことだが、この設定でのエンベロープは Fig 3、4 とまったく同じものになる。

あとがき:(目次へ戻る)

Ver 2 の AEG / Main の volume を 0(ゼロ)に設定する―ーという解法を思いついたのは、Fig 5 で示した CC11 のピークの平坦部を何とかしようと色々な設定値を試していた時だった。

実は、その時点でこのページの説明はほとんど書き上げられていた。
だから【始めに】の中で「本当に実用になるかどうかは TX16Wx ユーザーが判断すること」と言ったのは、設定の微妙な部分は個々の Ver 2 ユーザーにお任せするしかないという、私の本音だったのだ。

今回は、ことあるごとに何度も読み返した二つの Q&A が役に立った。これらの内容にはかなりの重複があるが、両方のリンクを挙げておく。

参考リンク:

REAPER:TX16Wx amd Expression (CC#11)(amd は and の間違いだろう)
CWITEC:TX16Wx and Expression (CC#11)

REAPER の方には Reaper 専用の解決策が提示されており、CWITEC の方には tx16wx.com の担当者が議論に参加している。ここでは AEGAmp と Volume に関する議論がなされているが、有効な解決策は示されていない。しかし、私が AEGAmp に対するこだわりを捨てて Volume にも着目するようになったのは、その議論が契機になったからだ。

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